懺悔の小部屋

あなたは、フライに入れ込みすぎたせいで、

健全なフライフィッシングの精神から逸脱してしまったことはありませんか?

何事も執着が過ぎると変質が起こります。それがヘンタイのはじまりです。

さあ、懺悔なさい。神はあなたを許すでしょう。

おもしろければ、フィクションでもかまいませんよ。

問題があれば、ペンネームでの投稿もお待ちしています。

なお、掲載の可否、添削などは、なぜか管理人の独断と偏見で判断されます。

迷える子羊に神のご加護を。

懺悔する者 黒石真宏

 このコーナーに投稿が少ないのは、私以外のフライマンはみな健全なフライフィッシング・ライフを送っていらっしゃるということでしょうか。しかたがない、ここらでもう一発いこう。

 

 あれはもう十年以上前のことです。忘れもしません、カレンダーは二月十五日でした。私は日帰りスキーを計画したのです。メンバーは友人のKと女子大生のオネエチャン二人の計四人です。場所は、まだ出来て間もない小海のスキー場にしました。

 その一週間くらい前のことです、私の周囲がなにやら騒がしくなりました。

「千曲の解禁行かないの?」

 などという輩が現われだしたのです。

「そうか…」

 そういえば去年川上村から下っていって、あのあたりにはすんげえいいポイントを見つけてあったんだっけかな…。

 当日、ぼくとKは

「なにこのヘンな長靴」

 といわれるような荷物も、スキー用具といっしょに積み込みました。どうせ解禁たってまだ冬だ。コカゲロウやユスリカが流下してライズがあるのも真昼間の短時間だろう。だったら昼飯食った後ちょっとだけ抜けてやれ。

「じゃあ、ちょっと行って来るわ…」

 もちろんオネエチャンたちが呆れていたのはいうまでもありません。私たちは時間もないし面倒なので、スキーウエアの上にウエイダーをはき、ポイントへすっ飛んでいきました。

 しかし、待てど暮らせど、ライズはありません。ユスリカがちらほら飛んでいるのに…。寒さに震えが来ました。私は、スキーウエアが運動することを前提に作られていることを思い知らされたのです。しかたなく、歩いてライズを探すことにしました。そしてやっと、ライズを見つけました。

「やった一発だ。やっぱり解禁日は違うなぁ!」

 などとわめきながら引き寄せ来た魚はウグイでした。

 その後我々はゲレンデに戻り、3時のお茶の時間にオネエチャンたちにケーキをご馳走するなどして、必死でゴマを摺ったのはいうまでもありません。いやぁ、あっはっはっは…私はすでに十数年前からヘンタイ・フライマンだったということですね。

 

教訓 スキーに行ったときくらいスキーに集中しなさい!

懺悔する者 はっちまっちゃーはまっちまっちゃー

 懺悔です。
 昨シーズン、盛期のこと。ようやくとれた午前中だけの休みは、当然忍野の川辺です。

 その日はそこそこのハッチがあって魚の反応も良く、満足して切り上げようとしたときのことでした。自衛隊橋から何気に下流方向を見ると、な・な・なんと、40cmをゆうに超えると思われるヤマメが優雅にライズを繰り返しているではありませんか!そんなもの、一筋縄では行かないものは百も承知。でも挨拶をしないまま帰ることは、ヤマメに対しても失礼です!?
 最近、幸か不幸か忍野でも携帯電話が使える様になりました。すかさず会社に電話。
「客から電話で、すぐこいってんだ。しょうがないから寄ってから行くから、夕方までには会社にいけると思う。よろしくたのむゎ」
 その後、「なんかあったら電話くれ」といって、携帯の電源を切ってしまったのでした。

 私は健全なフライフィッシングの精神から逸脱しないようにしたため、ヘンタイになってしまいました。
 あぁ、主よ。お許し下さい。
 その後も懺悔しなければならないことがありますが、後日報告します。

 

懺悔する者 黒石真宏

 あれは忘れもしない、2年前の6月です。

 忍野フリークにとって、6月といえば、なんといっても早朝のクロマダラカゲロウのハッチです。場合によっては夜明けに起こるかもしれないスーパー・ハッチを狙って、私は午前2時に目覚ましをセット。眠りの底からなんとか這い上がり、忍野を目指しました。

 中央道の河口湖インターを降りるころには、すっかり頭も冴えてきました。飲み物と朝食を買うためにいつものコンビニへ。商品の配置は定番どおり、入り口のすぐ脇に雑誌類です。奥の飲み物が入った冷蔵庫に行く前に、そのラックにチラッと目をやったのがいけなかった。週刊誌の表紙に、元アイドルの名前を見つけてしまったのです。どれどれ。私は、なんとはなしに、その雑誌を手にとっていました。グラビアを飾っていたのが、よくありがちな、売れなくなったタレントが脱いだ写真だったのです。が、新鮮でした。考えてみると、ヌード写真を見るのは久しぶりでした。きれいでした。モデルもいいけど、これはカメラマンがいいんだな。こういうのに比べると、二流のエロ本は、モデルもカメラマンも落ちるんだ。でも、それもまたいいんだよな。なんか、場末の哀愁が漂ってたりして、そこが捨てがたいというか懐かしいというか…。

 気がつくと私は次に、週刊誌ではない、本格的なエロ雑誌を手に取っていました。そしてそのまま、エロ本巡回立ち読みフルコースに突入してしまったのです。

 はっ、と気がつくと15分が経過していました。時間が時間だけに、ほかに客はいません。店内に気まずい空気が流れていました。外は薄明るくなってきましたが、窓ガラスにはまだ、どこから見てもショーモナイ中年エロ親父が写っていました。いや、いや、そんなことより、俺は釣りに行く途中じゃないか! しかし、あとの祭りです。夜明けには準備を整えて待っているはずの予定はすっかり狂い、釣り場に立ったときには、白々と夜が明けていました。ライズはなく、水面は静まり返っていました。ああ、またやってしまった。これを、健全なフライフィッシングの精神に反した行為といわずしてなんといいましょう。

 神様、クロマダラの流下よりもエロ本を優先させてしまった私を、どうかお許しください。

 

 

 

戻る